翻訳の難題:知っているようで訳せない英単語とその克服法

by TMJ JAPAN

翻訳者にとって、英語の一見シンプルに見える単語が意外と訳しにくいことはしばしばあります。特に、英語非ネイティブの日本人翻訳者にとって、多義的な単語や文脈によって意味が大きく変わる表現は大きな挑戦となることでしょう。

目次

「upset」の多面性

英語の「upset」は「人を精神的に動揺させる」という意味でよく知られていますが、この単語一つで表現される感情の幅は非常に広いです。

例えば、「I’m really upset with you.(あなたに本当に怒っている)」という表現では、怒りが主な感情として現れますが、「I’m so upset that you lied to me.(あなたに嘘をつかれて悲しい)」では悲しみが前面に出ています。

このように「upset」は怒り、悲しみ、失望といった多様な感情を含むため、翻訳時には文脈を細かく分析する必要があります。

「run」、「get」、「give」の意外な使い方

「run」は「走る」という意味が一般的ですが、「I ran up a huge phone bill.(電話料金をたくさん使った)」や「Bad eyesight runs in my family.(家族には目が悪い人が多い)」のように、多様な文脈で使用されます。この単語の多様な使い方を理解し、適切に翻訳することが重要です。

同様に、「get」や「give」も翻訳者を悩ませることがあります。「Get」は「得る」という基本的な意味の他に、「成る」や「到達する」といった多くの意味を持ちます。

「Give」も「与える」の基本的な意味に加え、「影響を与える」や「実行する」といった使い方もされます。

その他の多面性があることで翻訳が困難な英単語

1. Set

「Set」は動詞、名詞としても非常に多くの意味を持ちます。例えば、「set the table」(食卓を準備する)、「set a record」(記録を樹立する)、また「sun sets」(太陽が沈む)など、使われる文脈によってさまざまな意味に解釈されます。

2. Fine

「Fine」もまた多様な意味を持つ単語です。これは「細かい」や「優れた」という形容詞の意味の他に、「罰金」を意味する名詞としても使用されます。また、「I am fine」(私は大丈夫です)という表現で「元気である」という意味で使われることもあります。

3. Bear

「Bear」は「耐える」という動詞の意味以外にも、「熊」という動物を指す名詞としての意味があります。さらに、「bear fruit」(成果を結ぶ)といった表現では「成果をもたらす」という意味になります。

4. Break

「Break」も状況によって様々な意味に解釈されます。「休憩する」、「壊れる」、「法を破る」など、多岐にわたる用途があります。例えば、「take a break」(休憩する)、 「break the window」(窓を壊す)、また「break the law」(法を破る)などです。

5. Right

「Right」は「正しい」という意味の形容詞の他に、「権利」という名詞、方向を示す副詞(「右」)としても使われます。これにより、文脈に応じて全く異なる訳が必要とされることがあります。

これらの単語は、特に英語非ネイティブの翻訳者にとっては、文脈を正確に把握し、適切な日本語訳を見つけるために注意が必要です。各単語が持つ複数の意味を理解し、使われている文脈に応じて最も適切な訳を選ぶ能力が、翻訳者としての資質を高めます。

翻訳のコツとは?

これらの単語のように幅広い意味を持つ表現を翻訳する際には、以下のポイントが役立ちます。

文脈を理解する:文の全体的な意味や話者の感情を把握することが重要です。

類似表現を探す:同じような文脈で使われる日本語の表現を探してみると良いでしょう。

翻訳例を参照する:既存の翻訳された文献や資料で、その単語がどのように訳されているかを確認する。

翻訳のプロセスは、言葉だけでなく、文化や感情を理解し伝える作業です。難しいとされるこれらの英単語をマスターすることで、翻訳者としてのスキルを高め、より自然で流暢な翻訳が可能になります。翻訳者として成長するためには、絶えず学び、実践を積むことが不可欠です。

TMJ JAPAN

東京都品川区にある翻訳会社です。日英翻訳を中心に、他言語に渡る翻訳・通訳サービスを提供する翻訳会社・通訳会社です。

https://tmjjapan.co.jp/