Mantraは、AIを活用して漫画や縦型漫画の翻訳を効率化するツール「Mantra Engine」を開発しています。このツールは、画像認識技術とLLM(大規模言語モデル)を組み合わせることで、ストーリーや文脈を考慮した翻訳が可能です。
英語、中国語(繁体字・簡体字)、韓国語、ベトナム語など、複数の言語に対応しているのも特徴の一つですが、最も注目すべき点としては、人気アニメの翻訳に使用されていることが挙げられます。
すでに「ONE PIECE」「SPY×FAMILY」「ケンガンアシュラ」「魔法使いの嫁」といった人気漫画の翻訳にMantra Engineが使われており、大手出版社からの出資を受けたことで、さらなる精度向上が期待できそうです。
また、今回の資金調達で注目すべきは、出資者の顔ぶれです。集英社、小学館、KADOKAWA、スクウェア・エニックス・ホールディングスといった大手出版社が名を連ねています。これは、業界全体でAI翻訳への期待が高まっている証拠と言えるでしょう。
Mantraは調達した資金を、AI翻訳の精度向上や、小説・ゲーム・動画などへの技術転用に向けた研究開発に充てる予定だそうです。つまり、漫画だけでなく、他のエンターテインメント分野でもAI翻訳が活用される可能性が高いと言えるでしょう。
翻訳者にとって、このようなAI翻訳の進歩は脅威に感じるかもしれません。しかし、AIはあくまでも翻訳作業を補助するツールであり、完全に人間の翻訳者に取って代わることは難しいと言えます。むしろ、AIを味方につけることで、翻訳の効率化と品質向上を図ることができるはずです。
特に、これから翻訳者を目指す人や、キャリアを始めたばかりの人にとっては、AI翻訳の可能性を理解しておくことが重要です。AIとの協働の仕方を模索し、自分の強みを活かせる領域を見つけていくことが、これからの翻訳者に求められるスキルと言えるでしょう。
Mantraの事例は、翻訳業界におけるAI活用の一つの形を示しています。今後も、AI翻訳の動向から目が離せません。翻訳者の皆さんも、業界の変化に敏感になり、新しい技術を積極的に取り入れていくことをおすすめします。