Google翻訳のAIってどうなっているの?進化の歴史と最新動向

Google翻訳のAIってどうなっているの?進化の歴史と最新動向

Google翻訳は、AI技術を駆使して、その精度と利用可能な機能を飛躍的に向上させてきました。2006年のサービス開始以来、Google翻訳は絶えず進化を続けて、世界中のユーザーに愛用されている翻訳ツールの一つとなっています。今回は、Google翻訳のAI技術の進化と他翻訳ツールとの比較から見える特徴について解説していきます。

目次

Google翻訳の歴史とAI技術の進化

サービス開始(2006年)

Google翻訳はサービス開始当初、統計機械翻訳(SMT)と呼ばれる技術を用いていました。SMTは、大量の翻訳データを統計的に分析し、単語やフレーズの関係を学習することで翻訳を行う方法です。

ニューラル機械翻訳(NMT)の導入(2016年)

2016年、Google翻訳はニューラル機械翻訳(NMT)と呼ばれる新しい技術を導入しました。NMTは、AIの一種であるニューラルネットワークを用いて翻訳を行う方法です。ニューラルネットワークは、人間の脳神経細胞の仕組みを模倣したもので、データから複雑なパターンの学習を可能にしました。従来のSMTでは難しかった、文脈やニュアンスを考慮した翻訳を可能にした点など、Google翻訳の精度は大幅に向上したと言えます。

BERTモデルの導入(2018年)

BERTは、Google AIが開発した自然言語処理モデルで、大量のテキストデータから単語やフレーズの意味を学習することができます。BERTを導入したことで、文中の単語やフレーズ単独ではなく、文脈全体の中で理解することができ、より自然な翻訳が可能になりました。

また、ニュアンスの表現の点でも向上しています。例えば、”He is a nice guy.”という文では、“彼は親切な人です。”といったように、“nice”を“良い”と単純に表現するのではなく、“親切”と表現するなどが例として挙げられます。

PaLMモデルの導入(2022年)

PaLMモデルは、5400億個のパラメータを持つ巨大な言語モデルで、従来のモデルよりも10倍以上大きな規模だと言われています。これにより、専門用語や複雑な文構造の翻訳精度が向上し、より多くの言語にも対応が可能になり、翻訳速度も向上しました。しかしながら、翻訳データの根拠が説明できない場合があるなど、課題もまだ残されています。

サービス開始から進化を続けています。
サービス開始から進化を続けています。

各翻訳ツールとの比較から見えるGoogle翻訳のAIにおける特徴

Google翻訳と他翻訳ツールは、それぞれ異なるAI技術を用いて翻訳を行っています。以下では、代表的な翻訳ツールとGoogle翻訳のAI技術の違いを比較解説します。

DeepL

DeepLは、ドイツのDeepL社が開発した翻訳ツールです。Google翻訳と同様にNMTを採用していますが、異なるニューラルネットワークアーキテクチャとデータセットを用いることで、高い翻訳精度を実現しています。

特徴

  • 特に欧州言語間の翻訳精度が高い。
  • 文脈理解に優れている。
  • 自然な表現を生成する。

AI技術

  • 独自のニューラルネットワークアーキテクチャを採用。
  • 高品質なデータセットを用いて学習。

Microsoft Translator

Microsoft Translatorは、マイクロソフト社が開発した翻訳ツールです。NMTとSMTを組み合わせて使用しており、幅広い言語に対応しています。

特徴

  • 多くの言語に対応している。
  • オフライン翻訳機能が充実している。
  • 音声翻訳機能が使いやすい。

AI技術

  • NMTとSMTを組み合わせて使用。
  • マイクロソフト独自のデータセットを用いて学習。

Baidu Translate

Baidu Translateは、中国のバイドゥ社が開発した翻訳ツールです。NMTと音声認識技術を組み合わせて使用しており、中国語と英語間の翻訳に特化しています。

特徴

  • 中国語と英語間の翻訳精度が高い。
  • 音声翻訳機能が優れている。
  • 画像翻訳機能が搭載されている。

AI技術

  • 独自のNMT技術と音声認識技術を採用。
  • 中国語と英語を中心としたデータセットを用いて学習。

Google翻訳

Google翻訳は、NMTとBERTモデルを組み合わせた独自のAI技術を採用しています。

特徴

  • 40以上の言語に対応している。
  • 文脈理解に優れている。
  • 自然な表現を生成する。
  • 多様な機能が搭載されている。

AI技術

  • NMTとBERTモデルを組み合わせた独自の技術。
  • 大規模なデータセットを用いて学習。

このように、Google翻訳と他翻訳ツールは、それぞれ異なるAI技術を用いて翻訳を行っており、翻訳精度、対応言語、機能に違いがあります。ご自身の用途に強みを持ったツールを使用できる良いのではないでしょうか。

AIを駆使したさまざまなツールが、独自のサービスを展開しています。
AIを駆使したさまざまなツールが、独自のサービスを展開しています。

Google翻訳のAIの課題

Google翻訳は、AI技術を活用して翻訳精度を向上させてきた一方で、まだ克服すべき課題も存在します。以下が現状のGoogle翻訳における代表的な課題と言われている点です。

データバイアス

Google翻訳は、インターネット上のテキストデータから学習するため、データに含まれるバイアスの影響を受けやすいという課題があると言われています。例えば、特定の性別や人種、文化に対する偏見が翻訳結果に反映される可能性があります。

このようなデータバイアスの完全な排除は難しい課題と言え、人による翻訳の必要性はまだ高いと言えるでしょう。

説明可能性

Google翻訳は、AIモデルによって翻訳を行うため、翻訳結果の根拠を説明することが難しいという課題があると言われています。ユーザーは、翻訳結果の信頼性を判断することが困難になります。

専門性の高い翻訳を必要とする場合など、精度が上がってきてはいるものの、プロフェッショナルの翻訳者に依頼する方が良い場合もあるでしょう。

安全性

Google翻訳は、悪意のあるユーザーによって悪用される可能性があります。例えば、ヘイトスピーチや差別的な表現を含む翻訳結果を出力される可能性があります。こういった翻訳結果を検出・削除する技術の開発は求められるところではないでしょうか。

まとめ

上記の通り、Google翻訳は、サービス開始から進化を続けて、その精度を向上させ続けており、今後もその進化は楽しみです。

しかし、翻訳業界にAIの技術が導入され、手軽に翻訳をすることが可能になった反面、ビジネスの場面などにおいては、最新のAI技術を持ってしても正確な翻訳ができないケースは多々あります。まだまだ正確性や信頼性、安全性の面でも物足りないと感じる人も少なくないでしょう。

さまざまな場面に対応した、正確な翻訳が必要な場合は、当社TMJ JAPANまでお気軽にお問い合わせください。

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